○美浜町小形風力発電設備の設置及び運用の基準に関する条例

令和元年12月20日

条例第28号

(目的)

第1条 この条例は、美浜町における小形風力発電設備の設置及び運用に関し事業者等が遵守すべき事項及び基準を定めることにより、環境の保全及び景観形成並びに地域の安全及び住民の健康な生活を確保することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 風力発電設備 風力を電気に変換する設備及びその附属設備をいう。

(2) ロータ 風力発電設備の風車において、風力を主軸の動力に変換する部分をいう。

(3) 小形風力発電設備 風力発電設備であって、そのロータの受風面積が25平方メートル以上で、かつ、その出力が50キロワット未満のものをいう。ただし、その出力が5キロワット以下のもので、その構造が自立しておらず、建築物、構造物その他の設備等と一体となっており、かつ、発電により得られた電力を自ら消費することのみを目的としたものを除く。

(4) 発電事業 小形風力発電設備を設置し、又は運用し、得られた電力を供給し、又は自ら消費する事業をいう。

(5) 事業者等 発電事業を行う者(小形風力発電設備の設置又は維持のみを行う者を含む。)及び発電事業を行おうとする者をいう。

(6) 土地所有者等 発電事業が行われ、又は行われようとする土地(以下「発電事業用地」という。)を所有し、又は管理する者(事業者等を除く。)をいう。

(7) 隣接土地所有者等 発電事業用地に接する土地(発電事業用地に接する土地が、道路又は水路など公共用地である楊合は、当該公共用地と発電事業用地の反対側において接する土地を、また、発電事業用地と発電事業用地に隣接する土地が、同一所有者である場合は、発電事業用地に隣接する土地に接する土地を含む。)の所有者又は当該土地に関して用益権(地上権、永小作権、地役権、賃借権又は採石権をいう。)を有する者をいう。

(8) 事業区域 発電事業が行われ、又は行われようとする区域をいう。

(9) 住宅等 住宅及び事業所(事業者等が自ら所有するこれらのものを除く。)並びに学校、幼稚園、保育所、病院、社会福祉施設その他規則で定める施設(以下「学校等」という)。)

(10) 近隣住民等 当該小形風力発電設備の風車を支持する工作物の中心から300メートル以内の住宅等の居住者又は管理者をいう。

(設置場所)

第3条 事業者等は、小形風力発電設備を設置するときは、当該小形風力発電設備の風車を支持する工作物の中心から住宅等まで100メートル又は当該小型風力発電設備の最大の高さの3倍に相当する距離のうちいずれか長い距離以上離れた場所に設置しなければならない。

2 事業者等は、前項の場合において、当該小形風力発電設備の風車を支持する工作物の中心から住宅等までの距離が、300メートルに満たないときは設置しないよう努めるものとする。ただし、近隣住民等の同意が得られたときは、この限りでない。

(騒音)

第4条 小形風力発電設備によって発生する騒音の基準は、当該小形風力発電設備から最も近い住宅等において以下のとおりとする。

基準値

昼間

55デシベル以下

夜間

45デシベル

2 前項の規定にかかわらず、一過性の特定できる騒音を除いた騒音が30デシベルを下回る区域における騒音の基準は、小形風力発電設備から最も近い住宅等において35デシベル以下とする。

3 事業者等は、前2項の基準を遵守し、必要な措置を講じるよう努めなければならない。

4 第1項及び第2項の基準の基準値の測定の方法その他これらの規定の適用に関し必要な事項は、規則で定める。

(低周波音)

第5条 小形風力発電設備によって発生する低周波音の基準は、当該小形風力発電設備から最も近い住宅等において以下に示す値以下とする。

(1) 物的影響に係る基準

1/3オクターブバンド

中心周波数(Hz)

5

6.3

8

10

12.5

16

20

25

31.5

40

50

1/3オクターブバンド

音圧レベル(dB)

70

71

72

73

75

77

80

83

87

93

99

(2) 心身に与える影響に係る基準

1/3オクターブバンド

中心周波数(Hz)

10

12.5

16

20

25

31.5

40

50

63

80

1/3オクターブバンド

音圧レベル(dB)

92

88

83

76

70

64

57

52

47

41

2 事業者等は、前項の基準を遵守し、必要な措置を講じるよう努めなければならない。

3 第1項の基準の基準値の測定の方法その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、規則で定める。

(日影)

第6条 事業者等は、小形風力発電設備の設置及び運用(以下「設置等」という。)において、風車の羽根の回転に伴って住宅等や地上に明暗が生じる現象への対策を含めた日影対策を講じるよう努めなければならない。

(電波障害)

第7条 事業者等は、小形風力発電設備の設置等によって、テレビジョン放送の電波その他の電波に障害が発生しないよう、必要な措置を講じるよう努めなければならない。

(動植物に与える影響)

第8条 事業者等は、小形風力発電設備の設置等によって動植物に与える影響を可能な限り回避するよう努めなければならない。

(景観)

第9条 事業者等は、小形風力発電設備の設置に当たっては、地域の自然的及び歴史的環境と不調和とならないよう計画するよう努めなければならない。

2 事業者等は、小形風力発電設備の配置、デザイン及び色彩に関して、周囲の景観と調和が図られるよう配慮するよう努めるものとする。

3 事業者等は、小形風力発電設備により景観に与える影響が甚大なことにより良好な景観又は風致を著しく阻害することのないよう、必要な措置を講じるよう努めるものとする。

4 事業者等は、小形風力発電設備及びその周辺に広告物を表示する場合は、良好な景観若しくは風致を害し、又は公衆に対する危害を及ぼさない広告物で、管理上必要とされる最小限のもののみを表示するよう努めるものとする。

(光害)

第10条 事業者等は、小形風力発電設備及びその周辺に照明器具等を設置するときは、近隣住民等の障害又は生態系への重大な影響を生じさせないよう配慮するよう努めるものとする。

(文化財)

第11条 事業者等は、小形風力発電設備の設置に当たっては、設置の影響から文化財を保護するよう努めるものとする。

(事業の届出及び説明)

第12条 事業者等は、小形風力発電設備の設置区域及び規模の概要を計画した段階で、土地所有者等に充分説明をした後、国への再生可能エネルギー発電事業計画認定申請に先立ち、町長に規則で定める書類を添えて次に掲げる事項を届け出なければならない。

(1) 氏名及び住所(法人にあっては、名称、代表者氏名及び主たる事業所の所在地)

(2) 発電事業用地の住所、用途地域及び所有者

(3) 小形風力発電設備の事業規模

(4) 施工予定期間

(5) 発電予定期間

(6) 設置事業者、発電事業者及び保守事業者の事業者名及び連絡先

(7) 半径300メートル以内に位置する住宅等の数

(8) 近隣住民等への周知内容

(9) その他規則で定める事項

2 事業者等は、国への再生可能エネルギー発電事業計画認定申請に先立ち、町長への届出が受理された後速やかに、近隣住民等が属する行政区、近隣住民等及び隣接土地所有者等に対し事業の説明を行わなければならない。

3 事業者等は、前項の規定による近隣住民等及び隣接土地所有者等に対する説明に当たっては、発電事業に対する不安及び疑問を解消するように努めるものとする。

4 事業者等は、第1項の規定により町長に届け出た事項に変更が生じた場合は、国への再生可能エネルギー発電事業計画変更認定申請書又は事後変更届出書の提出に先立ち、速やかに町長に届け出なければならない。国への再生可能エネルギー発電事業計画変更認定申請書又は事後変更届出書が、既に提出されている場合も同様とする。

5 事業者等は、前項に規定する町長への変更の届出が受理された後速やかに、近隣住民等が属する行政区、近隣住民等及び隣接土地所有者等に対し当該の変更の説明を行わなければならない。

6 この条の規定は、国の再生可能エネルギー発電事業計画認定申請が不要な小形風力発電施設を設置しようとする事業者等についても適用する。

(事業の運用)

第13条 事業者等は、小形風力発電設備の運用に当たっては、この条例で定める基準及び関係法令等を遵守し、安全性の確保を十分に図るとともに、適切な情報提供に努めなければならない。

(標識及び柵等の設置)

第14条 事業者等は、発電事業の実施に当たっては、発電事業に関係ない者が小形風力発電設備に近付くことによる感電事故等を防止するため、事業区域とそれ以外の区域との境界に柵、塀等を設けなければならない。

2 前項の柵、塀等は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。

(1) 外部から小形風力発電設備へ容易に立ち入ることができないような高さであること。

(2) 外部から小形風力発電設備に触れることができない距離に設けること。

(3) 容易に移転し、又は除却することができない堅固な構造とすること。

(4) 出入口は、施錠ができるものであること。

(5) 外部から見やすい箇所に看板を設置すること等により、小形風力発電設備等へ立ち入ることを禁止する旨を表示すること。

3 事業者等は、小形風力発電設備が事故等の危険な状態が発生したときに速やかな対応を図ることができるよう、必要な情報を記載した標識を設置しなければならない。

4 前項の規定により設置する標識には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

(1) 設備の区分

(2) 設備所在地

(3) 発電出力

(4) 事業者等名及び住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)並びに連絡先

(5) 保守点検責任者名(法人にあっては、その名称)及び24時間連絡が可能な連絡先

(6) 運転開始年月日

5 事業者等は、第3項の規定により標識を設置するときは、風雨による劣化及び破損並びに風化により文字が見えなくなること等がないよう、適切に管理しなければならない。

(保守点検等の実施)

第15条 事業者等は、小形風力発電設備の安全な運用を確保するために必要な保守点検を実施しなければならない。

2 前項の保守点検は、日常点検及び定期点検とし、日常点検は主として目視による外観の異常の有無、異常音の確認等を行うものとし、定期点検は3年以内ごとに小形風力発電設備の製造業者又は設置業者による総合的な内容のものを行うものとする。

3 事業者等は、小形風力発電設備の安全な運用を確保するために必要と認められるときは、前項の日常点検及び定期点検のほかに、必要な点検を実施するものとする。

4 事業者等は、事故等の防止の観点から、事業区域内の草刈りを行う等、衛生的環境の保持に努めるものとする。

(保険加入)

第16条 事業者等は、小形風力発電設備による人的被害又は物的損害の賠償の費用を担保する為、保険に加入するよう努めなければならない。

(事業の終了)

第17条 事業者等は、小形風力発電設備での発電事業が終了したときは、自らの責任において設備の撤去等を行わなければならない。この場合において、発電事業の終了から撤去等までの期間においては、小形風力発電設備の倒壊等により周辺に危険等が及ぶことがないよう適切な措置を行い、その旨を町長に届け出なければならない。

2 事業者等は、設備の撤去等に当たっては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)その他関係法令を遵守し、適切に行わなければならない。

(情報提供)

第18条 町民は、小形風力発電設備の設置等に関しこの条例に定める基準及び関係法令等に違反している状態又は小形風力発電設備が安全かつ適切な運用若しくは管理がされていない状態(以下「不適切な状態」という。)にあると認めるときは、町長にその情報を速やかに提供するものとする。

(実態調査)

第19条 町長は、前条の規定による情報提供があったとき、又は小形風力発電設備が不適切な状態であるおそれがあると認めるときは、当該小形風力発電設備の実態調査を行うことができる。

(助言又は指導)

第20条 町長は、前条の規定による実態調査により小形風力発電設備が不適切な状態にあると認めるときは、当該小形風力発電設備の事業者等に対し、必要な措置について助言又は指導を行うことができる。

(勧告)

第21条 町長は、第19条の規定による実態調査により小型風力発電設備が第3条第1項の規定に違反していると認めるときは、当該小形風力発電設備の事業者等に対し、期限を定めて必要な措置をとることを勧告することができる。

2 町長は、前項の規定による勧告を行った場合において、必要な改善が行われたと認めるときは、その旨を当該勧告を受けた者に通知するものとする。

(命令)

第22条 町長は、前条第1項の規定による勧告を受けた者が、正当な理由なくその勧告に係る措置をとらなかったときは、その者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

2 町長は、前項の規定にかかわらず、小形風力発電設備の運用又は管理が危険かつきわめて不適正であり、近隣住民等の安全の確保上、緊急に是正することが必要であると認めるときは、当該小形風力発電設備の事業者等に対し、期限を定めて、必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

3 前条第2項の規定は、前2項の規定による命令について準用する。

(公表)

第23条 町長は、前条の規定による命令を行った場合において、その命令を受けた者が、正当な理由なくこれに従わないときは、次に掲げる事項を公表することができる。

(1) 命令に従わない者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)

(2) 命令に係る小形風力発電設備の所在地

(3) 命令の内容

(4) 前3号に掲げるもののほか、町長が必要と認める事項

2 町長は、前項の規定により公表するときは、当該命令に従わない者に、事前に意見を述べる機会を与えなければならない。

(文書閲覧又は資料提供の求め)

第24条 町長は、小形風力発電設備の事業者等を特定するために必要があると認めるときは、当該事業者等の氏名、住所その他の事項につき、官公署に対し必要な文書の閲覧又は資料の提供を求めることができる。

(関係機関との連携)

第25条 町長は、小形風力発電設備に関し、事業者等を安全かつ適切な運用又は管理に導くために必要があると認めるときは、町の区域を管轄する警察その他の関係機関等に必要な措置を講ずることを要請することができる。

2 町長は、この条例の施行に関し必要と認めるときは、この条例の規定により取得した情報及びこの条例の規定による措置に関する情報を前項に規定する関係機関等に提供することができる。

(報告及び検査)

第26条 町長は、第19条に定めるもののほかこの条例を施行するために必要な限度において、事業者等に対し、小形風力発電設備の設置、管理及び運用に関し必要な報告を求め、又は当該職員に小形風力発電設備の敷地に立ち入り、これを検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。この場合において、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

2 前項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(規則への委任)

第27条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日前に設置され、かつ、同日前に電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成23年法律第108号)第9条第3項により認定された再生可能エネルギー発電設備である小形風力発電設備については、第3条第9条第1項第11条及び第12条第1項の規定は、適用しない。

3 この条例の施行の日前には設置されておらず、同日前に電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法第9条第3項により認定された再生可能エネルギー発電設備である小形風力発電設備については、第3条第9条第1項及び第11条の規定は、適用しない。

(令和2年3月23日条例第15号)

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(読替え規定)

2 この条例による改正後の美浜町小形風力発電設備の設置及び運用の基準に関する条例(以下「新条例」という。)附則第2項の規定による小形風力発電設備については、新条例第12条第4項中「第1項の規定により町長に届け出た事項」とあるのは、「設置した小形風力発電設備に関する事項」と読み替えて適用する。

3 新条例附則第3項の規定による小形風力発電設備については、第12条第1項及び第2項中「国への再生可能エネルギー発電事業計画認定申請に先立ち」とあるのは、「この条例の公布の日以降に」と読み替えて適用する。

美浜町小形風力発電設備の設置及び運用の基準に関する条例

令和元年12月20日 条例第28号

(令和2年3月23日施行)