公開日 2019年08月07日
美浜を掘る-発掘調査から展示までの仕事-(展示は終了しています)
発掘の成果は、新聞・テレビでいつも報道されています。その裏側にも関係者しか知らない地味でたくさんの作業があります。この展示は、成果ではなく、その成果を出すための道具や作業を紹介しています。歴史を調べるという仕事について知ってもらうために展示は構成されています。
入り口には、河和城跡のトレンチの土層堆積図(実物大)
展示期間
平成16年10月14日~平成16年12月26日
場所
生涯学習センター 2階 多目的ルーム
展示紹介
1・発掘する
発掘調査には、たくさんの道具が必要です。しかし、一番必要なものは優秀な調査員とあたたかい職場です。
2・測量する
発掘は、ただ掘ればいいというものではありません。掘っては、測量などをして記録していきます。ここにある道具で位置と標高を測量します。
3・土器を洗う
発掘された遺物には、泥がついているので洗います。中世の山茶碗などは固いのでなかなか傷は付きませんが、縄文や弥生土器などやわらかい土器は強くこするとブラシの傷が付きます。たたくようにしたブラシを当てると、土器を傷めずに洗えます。
4・注記する(写真右) 5・接合する(写真左)
土器がどこから出土したのか、土器に書いておきます。ポスターカラーで情報を書いて、ニスでコーティングしておきます。割れて出土した土器の破片を、どれがつくのか探して出して接着していきます。時々、気が遠くなります。
6・実測する(写真右) 7・拓本をとる(写真中) 8・トレースする(写真左)
遺物を実物大で図面にします。遺物の特徴も観察して図面に書き込みます。瓦の模様などに湿らせた紙を当てて墨を付けます。実測図にトレーシングペーパーを乗せて、必要な部分を写します。写した図面は、報告書の図版に使われます。
9・写真を撮る
報告書で使われる写真を撮影します。カラー写真だと変色することがあるので、基本的には白黒で撮ります。
10・報告書をつくる
遺跡が調査されたら成果が発表されます。遺跡の説明や発見された遺構、遺物の説明を文章にします。トレースされた図面や写真はここで編集されます。多くの遺跡は調査後に工事の都合で壊されてしまうので、報告書は大切な記録になります。
11・保管する
込水古窯群の例だと、出土した土器はこの写真にある大きさのコンテナで約300箱あります。土器などの遺物は、大切に保管され展示や地域の歴史を調べる資料として利用されます。
12・展示する
展示は、地元の人が地元の歴史に触れる大切な機会です。今回の展示は、展示をする立場を体験してもらうために、遺物の解説だけではなく、展示方法の解説や展示する側の意図も別で説明(赤い説明プレート)しています。
13・体験する
平成13と15年、体験をとおしてより美浜の歴史を理解してもらうために、製塩体験講座を行いました。製塩土器という奈良時代の土器を粘土から作り、野焼きしました。その土器で濃縮した海水を煮沸して塩を作りました。
本町では、古墳時代から奈良・平安時代までさかんに製塩が行われていました。作られた塩は、税(調・庸)として奈良や京都に運ばれました。
当時の製塩は、塩田で海水を濃縮せずに、「藻塩焼く」と万葉集に歌われているように海藻を利用した濃縮方法で行われていました。